DIARY 2008年2月


2月1日 Pied Piper Days

親戚の叔母さんのお通夜に行ってきました。とってもきれいだったから亡くなったなんて信じられなくて、72歳だなんてもっと信じられなくて。子供の頃、その叔母さんの家に習字の先生がいらしてたので、毎週通ってました。僕の字を知ってる人よ、笑わないでくれ。本当に習字を習ってたんだから。輪になった廊下で、椅子にのってぐるぐる回って遊んだ。そんな記憶がお宅を訪れた途端に湧き出てきてた。72歳か。ウーム、僕も35だもんなあ。
 うちの親戚のお通夜はいつも騒がしい。キリスト教の家系なんで、お迎えが来ることはやむを得ないこととして受け入れるのだ。お酒を散々飲んで会話を交わす。太ったなあ、ええそれが数年ぶりに僕を見た、正直な感想だと思います。それから亡父が一番仲のよかった伯父さんとサシで。お前のオヤジのドーナッツ盤のコレクションは1000枚や2000枚じゃなかったぞと。そうらしいです。しかもビルボードの下の方をうごめくマイナー盤ばっかりだったんだって。残しとけよそういうものは!

2月2日 ER

人生2度目の救急車を体験。どっちもつきそいです。高速仕様なのか、サスの固い乗り物だ。寝た状態で乗る患者さんに優しくない気がする。
 前に乗った時はまっすぐに近所の救急病院に連れていかれて、そのまま廊下で放置だった。隣に口から血を流してる人とかいて、あっちの方を先に処置してあげて! と患者本人が言うありさま。今回は家の近所に車を止めて、病院に連絡してから移動開始。どこも満床だとかなんだとかで断られっぱなしだった。どっちもどっちだ。ER事情はよくなっているのかいないのか。担当の先生はY.A.さんのような癒し系のお兄さんで、安心して任せられました。現在は特に問題なし!

2月3日 Silent Snow Stream

真夜中にゆっくりと降り出した雪の中へ
僕達の声が消えてく 降り注ぐ静か過ぎる雪の中へ

静かな雪の日曜日。同居人と同居猫の寝息に包まれて過ごす。お鍋にはお粥がコトコト。今日は電話もメールもこない。こんな日も悪くないね。同居猫の腹がぱんぱんなのは別にして。

2月5日 PR

恵方巻きというなにがしかを初めてやりました。非常に滑稽な行事ですね。歴史的には豊臣秀吉が出陣前に食べた、という説もあるらしいけど、たまたま見たニュースではどこどこ神社では今年で6回目の恵方巻きの行事がって言ってて、歴史があるのかないのかよくわからない。調べてみたところ、江戸末期から大阪商人の間で細々とやっていたのを、70年代に入って海苔業界がPR、89年にセブンイレブンが広島でヒットさせて98年から全国区に広げたんだそう。とたんにありがたみがなくなる。関西出身の人はどうして「なんで知らないの」って顔が出来るんだろうか。
 きのうは青山を散歩。イチゴのフレッシュジュースというのが気になって頼んでみた。イチゴすぎ! 嘘偽りなくイチゴのフレッシュジュースでした。美味しかった。1200円なり。人生で一番高いソフトドリンクだった。

2月7日 だんだん馬鹿になってゆくのです

漢字変換ソフトの「ことえり」がだんだん馬鹿になってゆくのです。今日は履行のふりして...いま利口のふりしてるって書こうしてこうなった。成長の家庭。ほらやった。どこかの振興宗教団体みたいです。最初はかしこだったのになあ。
 きのうは久しぶりの外食。赤唐鍋を食べに行くつもりが、あまりの寒さに断念、近所の居酒屋さんに入ってしまった。感じのいい店で、料理もお酒も美味しかったです。写真はおこげっていうイモ焼酎。おこげって書いてあるのが見えるかな。ちょっとおこげっぽい美味な酒でした。料金はたらふく食って飲んで2人で1万円。さすがに高いか。

2月8日 Martians Go Home

今日車で湾岸道路を走っていたら、雪の中に咲く菜の花を見つけた。徒歩だったら写真を撮っていたんだけども。良くも悪くも春は近づいている。そう、良くも悪くも。オリオン座が手を振ってるよさよなら。
 F.T.氏に教えてもらって、Flipper's Guitarがやっていた幻のラジオ番組、「Martians Go Home」を聴いています。この生意気な若造たちは、なんでこんなに色んなポップスを知ってるんだろう。この番組と小西康陽の連載「グレイテストヒット」は、その後の日本のポップスのあり方をほんの少し変えたと思う。Flipper's Guitarより3歳年下の僕は、彼らを羨望の眼差しで見つめて、AからZまで見逃すまいと思った。全然追いつけなかったですけどね。ライブを見れなかったのが悔やまれる。見に行った人に言わせると下手だったらしいけど、僕は若い頃Flipper'sを見たと言いたかったのだ。オザケンはいまだに見たことがありません。そんな僕が22歳にしてやっと辿り着いたのはThe Beach Boysでした。ポップスの入り口の入り口ですね。

2月11日 Daydream Believer (清志郎の)

John Stewart追悼。ってわけでもないんです。何をしていたかというと、ケンカしたり仲直りしたり、夜中にいびきのことでお説教を受けた。ぐーすかぴー。とかじゃなくてがーごーがーごー言うらしいです。でもデブにいびきはつきものだからな。鼻テープくらいじゃどうにもなんない。

アニマルセラピー講座は3回目。今までは人間の話が中心だったけど、今回は動物のハンドリング技術について。アニマルセラピーは訪問先への気遣いはもちろんだけど、動物にとっても活動が嫌な条件付けにならないようにしなきゃなんない。動物と仕事をしている人の言葉は重い。動物が持って生まれた気質は2ー3割、その後の性格は7ー8割しつけで決まるんだって。うちの猫が人懐っこいのは僕の功績だけど、ずうずうしいのも僕の責任です。
 またひとつ、新しい講座を取ることにしました。ドッグアドバイザー講座。いま受けているアニマルセラピー講座は5回完結で、いい学校だったんで、1年かけてもっと実用的な技術を身につけられる講座を受けたい。頑張れ僕。

2月12日 たったった

mayulucaさんの初ワンマンライブ@下北沢leteに行ってきました。初ワンマンなのに立見が出る盛況ぶり。leteですが。
 本人は緊張してたっていうけど、いつものmayulucaさん。作曲能力の向上著しいです。あの独特の間はそのままに、よりポップに力強くなった気がする。自由に駆け巡るスキャットの行方を堪能させて頂いた。前原孝紀さんとのギターの交錯は最高ですね。2人ともアイデアに溢れてて、お互いに邪魔しない。時に寄り添ったり違うフレーズを絡めたり。今までmayulucaさんの音楽を、Joni Michelに例えたり、童謡に例えたこともあるかも知れない。でも誰にも似てなくて、mayulucaさんの楽曲はmayulucaさんの楽曲だった。新曲はフォークソングっぽい、と本人は言っていたけど、東欧や高砂族の民謡のような、民族音楽としての21世紀の日本のこぶしができそうな気がした。そして宮沢賢治の童話の朗読に続いて、「おきなぐさ」に歌を乗せた新曲は、長いこと歌い継がれそうな予感。

2月14日 Blue Valentine's Day

今日は世界的にバレンタインディ。僕は僕のために板チョコを1枚購入した。そんなもんだカンガルー。
 今日でがけに、「今日はバレンタインディだけどなんにも準備してないカラー」ってまたまた、本当は念入りにサプライズ企画を用意してるな、と思ってたんだけど本当になんにも準備してませんでした。「あははなんだよー、水臭いじゃないかー、僕のためにこんなにしてもらわなくてもいいのにー、ありがとう」ってのを想像してたのに。しかもケンカして鍋のフタが割れた。十余年、僕と僕の小さな祝福の輪を彩って湯気をたてていた鍋のフタが。もっぴーのバカー (パリーン) 。僕がもっぴーと呼ばれている事実。それはともかく。うちで次に鍋をやるときまでにフタを買わねばならん。

2月15日 拡張された次元

明日は我が家で久しぶりのゼミ会。メディアアートゼミでした。このゼミ昔からメールの閲覧率が低かった。つまりは電話で連絡を取らないと約束が立たないのです。今回は頑張って生徒5人と教授を呼び出すことに成功した。担当教授は坂根厳夫氏。坂根ファンの方はどさくさに紛れて来るとよいよ。完璧なコーディネイトでお招きするよ。
 とさっきまで思っていたのだが! 配水管がづばっだ。台所の。つまり明日は1日料理とか皿洗いとか出来ない。最初にビルのメンテナンス会社に連絡して、ハンガーの先で鉄管を突っついたのが悪かったのか、次に来た水道会社はこりゃ鉄管の寿命ですね、今日中には直らないですよと。お客さんが来てる横でトンテンカンテンやるのもアレなので、明後日の日曜日の午前中に来てもらうことにした。明後日の午後は母方の婆さんちで約束。月曜日におもいっきりグデっとして、火曜日にBjork、水曜日にドッグアドバイザーの講義ですよ。いつになくハードスケジュールだな。耐えられるのか。耐えるしかないのだ。

2月16日 ダイアモンドダストが消えぬまに

という訳で我が家でゼミ会。世界の坂根厳夫氏が我が家にやってきた! 写真は世界の坂根厳夫氏とメイ。メイ、全く動じないところがすごいと思いました。
 坂根先生はサイエンスアートの権威で、漆原教授に近い微笑ましいキャラクターの持ち主。もう78歳になられるというのに、僕らがわからないコンピューター用語や現代芸術家の名前を次々と挙げた。今後はホログラフィの技術を応用したメモリに興味があるね。僕は戦争教育を受けたからね、アンチ戦争のツールとしてインターネットはあるべきだ、と熱弁を振るう。学生の頃と全く同じです。でも先生の目利きがこんなにも的を得ていること、あの頃は気づかなかったなあ。気がついていれば全く違った人生があったかもしれない。今日は口がまわり過ぎたか、結婚のエピソードについて、今まで知らなかったお話が聞けた。先生も叩けばホコリが出るんでしょう? 「いやいや、僕のはホコリと言ってもダイアモンドダストだから」。元気でた。

2月17日 クルクルミラクル

坂根先生から一番新しい連載のPDFファイルが届いた。相変わらず猛烈に面白い。皆さんもどうぞ。
 幸せな家庭っぽいことを書きましょうか。子供の頃からぎゃーぎゃー一緒に遊び回ってる母方の親戚の集まりに、初めて彼女を連れてった。いつものノリでこんにちはー! で済むかと思ったら、従兄弟の結婚式に彼女も出ろみたいなことになって焦った。彼女は人見知りで、「大人しくていいお嬢さんねえ」なんて言われちゃって、帰ってから変人としてのアイデンティティの崩壊に悩んでいた。エヘエヘキャラは小出しにすればいいよ。写真はお茶の先生をしている祖母を見習う姪っ子です。僕は早くに両親を亡くしたのでピンとこないんだけど、うちの両親が彼女にとっての祖父母で、僕の祖母は彼女にとっての曾祖母に当たるのだよな。

2月19日 Gudmundsdottir

Bjork@武道館観てきました。素晴らしかった。酷い席だったけど。武道館はもうライブに使うのは辞めたらどうかと思う。すり鉢状の真上の、真横からBjorkがちらちら見える感じ。それでもオーラを放っていました。ホーン隊がマーチを奏でながらの登場ですでに興奮した。そして妖精が舞い降りた。激しいシャウトの後の小さなささやき、それを聴き逃すまいとする武道館の観客。静寂と喧噪の繰り返し。Bjorkの声はリズムになって、ホーン隊の長い帽子を縦横に振らし、やがてはBjork自身も手を首を振り回し、脚をあげて応えた。その動きの愛らしいこと。気高いこと。
 メンバーはホーン隊&コーラス隊。キーボード、1台はチェンバロだったのかな? そしてなんと生ドラム。不思議なインターフェイスを忙しそうに操る人が2人。ドラム缶をなでるとチューナーみたいなのがあらわれて、自在にノイズを操れる楽器はちょっと触ってみたい。

新作を聴いてなかったんで心配だったけど、昔の名曲をいっぱいやってくれました。静かな新曲からいきなりレーザービーム全開の「Hyperballad」、そして「Pluto」に続く流れは泣くかと思った。アンコールはアテネオリンピックで歌った「Oceania」、最後の曲はコソボについて歌ってた。コール&レスポンスで煽った。
 終演後はO.C.さんとギネスで乾杯。O.C.さんのお薦めのお店だからはずれるわけがない。病気のことや電車が苦手な話から、初めてO.C.さんの経歴を伺った。なんと、小学校2年生で校長先生とケンカして退学になったんだって。「スキルくんもいろいろ大変だけど、サラリーマン5年半もやったなんてすごいよ、信じられない」と誉められてしまいました。命さえあればなんとかなるっていうお言葉に、大変勇気づけられました。

2月21日 大切なお話

まずはお前が大切にしろ (写真) 。
 きのうのドッグアドバイザー講座で怒濤の1週間にとりあえずケリがつき、今日はぐったりディ、明日は家事をバリバリっとやりたいと思います。ドッグアドバイザー講座は面白い。テリアの語源って知ってます? テラなんだって。テラウレシスのテラじゃなくて、地球と書いてテラと読む方。地べたを這いずりまわって狩りをするために作られた犬なんだそうです。それからびっくりしたのが食物アレルギーは遺伝するって話。例えば人間の花粉症は、花粉を吸える許容量を越えると発症するでしょう。食物アレルギーはその許容量が遺伝するんだって。つまり親がチキン系のドッグフードを食べ過ぎると、子がある時チキンアレルギーになっちゃう。そんで最近はラムやカンガルーの肉、サーモンやアボカドを使ったフードもあるんだけど、そのうちにラムアレルギーが出てきちゃうと考えられている。きのうはドッグフードを食べてみました。匂いはきついんだけど味が殆どしない。よく旨そうに食べるなあんなもの。

まだBjork熱が続いてる。きのうの日記で触れた不思議なインターフェイスはこれ。reactableというらしい。

動け動け...よ。

2月23日 ヘイトとラヴと、その他のこと

きのうは残念な事件があった。先日のO.C.さんのお話や最近の素敵な仲間たちのように、命さえあればなんとかなるの精神で精一杯生きてきたつもりなんだけど、社会通念って奴は思ってたより強そうだ。思いきって気分転換のために鎌倉に行ってきました。
遠くまで行く / 海を見に行く
出鱈目に見える / 挑戦は続く
カーステレオの中には鈴木慶一「ヘイト船長とラヴ航海士」、昨今のMoonridersの好調ぶりを受けて、大変な名盤です。今日って春一番? 酷い黄砂で川崎辺りはカラハリ砂漠のようでした。鎌倉は雲間から光が差す不思議な光景。K.K.さんお薦めの三留商店で、オリジナルのピクルスビネガーとファイン&ニューズのバジルペースト、カイーノのメレンゲ、バレーナのアンチョビを購入。幸せな気分になれる店。そしていつも行く江ノ島のiL Chanti Beacheでちょっと早い夜ご飯。ヘイトとラヴとその他のことに、ケリがつくのはまだ先だけど、出鱈目に見える挑戦は続く。

2月24日 Roller Coaster Life

弟一家が旅行に行くのでトイプードルのラビを預かった。諸般の事情により午前4時に目が覚めて大掃除、緊張してラビを迎えることになった。詳しい経緯は省略。将来の僕が読み返した時の備忘録として。ラビは結局10時半頃にやってきて、リラックスムードだったんでそのまま放置して昼寝。そしたらやってくれました。きのう買ってきたメレンゲを1個食べちゃった。午後はラビをつれてお散歩。六本木ヒルズのスタバでトイプードルを連れてカフェなど。浮かれ具合を写真に撮ろうとしたら、店員さんに「撮りましょうか」って言われちゃった。
 家に帰って借りてきたDVDを観た。「Little Miss Sunshine」。くせ者だらけの家族が1台のミニバスに乗って、娘のミスコンに行くコメディタッチのロードムービー。道中でとんでもない事件が次々と起こるんだけど、それは我が家でも起こりうること。面白かったです。お薦め。DVDを消したら「サザエさん」やってて、その余りの長閑さにあきれた。マスオさんって28なんだよね。ってことはタメ口をきくアナゴさんも28くらいってことですよ!

2月27日 倒された後に、また

倒された後に、また立ちあがれるか不安だ。
 鬱再発だ。先週のトラブルもあるし、犬の勉強が本格化してきて、この勢いで社会復帰しちゃってだいじょぶなんだろうかっていう不安が...理解されにくいと思うんですが、もうすぐ36だっていうのに社会人としての基本動作が出来ないんですよ。今の状態では夕方の2時間だって拘束されるのが辛い。ましてやそれが仕事で、朝から晩まで体力勝負の犬に関わることとなるとちょっと。前の会社では週休1日で毎日12時間ぐらい働いてたんですが。
 今日はドッグアドバイザー講座。びっくり知識を仕入れた。犬や猫にマイクロチップを埋めましょう、そうすれば迷子や災害時に便利っていうでしょう。あれってメーカーによって互換性がないんだって! うへー悩むなあ。

2月28日 ヨハン・セバスチャン・バッボ

ヘ長調
バッボの調べの
残り香よ

(僕の放屁) バッッ! ボッッ!プップップ.... (彼女) 「...メロディがあったね」 (僕) 「ヘ長調だ」。 (彼女) 「残り香が...」という訳で生まれたのが冒頭のポエムである。「めざまし川柳」に送ってみようかしら。杉崎美香さんがあの八重歯の笑顔で、「でもオナラできる関係って素敵ですよねー!」なんて言ってくれたら、孤立無援の僕らの大きな支えになる。
 自慢じゃないけど、昔からオナラはよく出る。子供の頃、父親も弟もぷーぷーしてたので、遺伝的な要素もあると思う。だから緊張したシチュエーションは苦手。中学生の頃、体育館で学校一怖い先生の前でランニングして、「みんな座れっ! 座れー! 何だお前らの走り方は!」、みたいなのが一番ダメ。出しちゃまずいと思えば思うほどに緩む括約筋よ、たまには活躍しろよ。ボ!ボ!ボ!ボ!ボ!ボ! .... (反響) 。以来僕のあだ名はヘコキになった。例えばオナラに地球温暖化ガスを分解する成分があってさあ、オナラをする人ほど偉い、みたいな世の中にならないかな。