DIARY 2008年6月


6月1日 カタツムリは-120℃でも死なない

でもカタツムリのエサは-120℃で死んじゃうから、結局カタツムリも-120℃で死んじゃうんだって。きのうはドロのように眠り、空腹で起きました。飢餓感で起きたというべきか。死ぬかと思った。彼女がカレーうどんを作ってくれました。贅沢な日本の無職です。夜はハンバーグを作って、おろしポン酢で食べた。旨かった。そんでオールでカラオケだ。
 今日はドロのように眠り、空腹で起きました。恵比寿でショッピング。Zoffで新しいメガネを作った。レンズ込み5250円。安くないか? 婦人服売り場の店員がみんな柳原可奈子に見えた。「いらっしゃいまっせーどうぞご覧くださーい」。言われなくたって商品を見に来てるんだこっちは。そんで関西で人気の神座ラーメンというやつを初めて食った。野菜の甘みが独特の味わい。いまひとつピンと来なかった。ラーメンは魚出汁のが好きなんで。帰りにガリガリ君を購入した。今年もガリガリ君が旨い季節になってきました。

6月2日 Happy Endで始めよう

きのう買った細野さんの「対談の本 ロックンロールから枝豆まで」と「EYESCREAM:特集大人のリスニングガイド」を読みました。「EYESCREAM」は、細野さんが今の感性で選んだディスクガイドを読みたかったんだけど、Tei Towaが選ぶ細野さん的アルバム (Martin DennyとかVan Dyke ParksとかRy Cooderとか) と、細野さん自身のディスコグラフィティだけで残念。20年前に「H2」の細野さんセレクション片手にCD屋を漁ったのは楽しい思い出です。The OrbとかKLFとかあの本で知ったんだよな。細野さんの写真かっこいいです。僕もあんな60歳になりたい。どうせ52くらいで死ぬだろうけど。
 「対談の本」は、忌野清志郎さんとの語り下ろしを除いて、全部10年くらい前の対談でした。でも面白い。大滝詠一さんとのお喋りがやっぱり断然面白い。なんだかんだ言って仲良いですね、あの2人。教授や幸宏さんよりソウルメイトとしての意識が強い。

最近の若い人のプロフィールを見たり、実際にお喋りすると、はっぴいえんどは聴いててもその後を聴いてる人が実に少ない。曽我部恵一やJim O'rourkeの影響だろうか。鈴木茂さんは「BAND WAGON」と「LAGOON」、大滝さんは「大瀧詠一」「Niagara Moon」「A LONG VACATION」、細野さんは「HOSONO HOUSE」「泰安洋行」「PHILHARMONY」「omni Sight Seeing」「FLYING SAUCER 1947」くらいは是非とも聴いて欲しいです。「HOSONO BOX」ってまだ買えるんだろうか。茂さんはもうすぐクラウンイヤーズのボックスが出ますね。
 さらにどうでもいい話だけど、Dr. Buzzard's Original Savannah BandのCDが、カーステレオの機材と機材の隙間に入りこんで取れない。うーむもう1枚買うべきか。

6月3日 Bo Diddley Beatに乗っかって

今日は飼育体験実習2コマ連続の日でした。1コマ目の課題は犬を見分けること。兄弟や姉妹でいる子を微妙な違いで見分けていく。なんでこんなことやるかっていうと、プロになるとお客さんの中にはおんなじ種類の犬を5頭も6頭も連れてくる人がいて、それを見分けるコツがあるんだって。
 2コマ目は初めて入る時間帯。ただ犬の散歩をすればいいのかと思ってたら、フリースペースの床や壁から犬舎のケージ、食器に至るまで徹底的に拭き掃除・消毒。こんなに肉体労働したのは劇団時代以来だ。実習の先生は20代前半の女性なんだけど、「山下さん今はワンワンふれあい体験じゃないんで」とか言ってくる。怖い!

Bo Diddley逝去。Bo Diddleyそのものは聴いてなかったけど、Bo Diddleyの影響を受けたイギリスのバンドはいっぱい聴いた。自分の名前のビートがあるなんてかっこいいぜ。合掌。

6月4日 ゴリラの学名はゴリラ・ゴリラ

ニシローランドゴリラの学名はゴリラ・ゴリラ・ゴリラ。少しは捻れ。
 降ってわいたような休日。車に乗って出かける。最初に寄ったのはペットの専門店コジマ。マウスクリーナーを買ってみました。飲み水に加えるだけで、歯磨き代わりになるというもの。斬新! 犬や猫に歯石がついちゃうと、全身麻酔して取らなきゃだからすごいお金がかかるし、うちの15歳コンビは年齢的にムリだと思うんです。コジマだから変なもんは置いてないと思うけどほんとに効くのかなあ。次に寄ったのはMaison Kayserっていうパリのパン屋さん。いくつかのパンと、50グラム441円もするバターを買った。そんでいつものジャスコ。ジャジャスコジャスコ。週に2回はジャスコ行ってるなあ。そんでクッキン。タマネギのドレッシングとカブのスープ、チーズに生ハムに441円のバター。なんて豪華な! なんてお洒落な! たらふく食って旨かった! 明日はまた学校だーっ!

6月5日 サヨナラからはじまること

学校休んじゃった! どーうしても起きれなくて。僕は中学・高校と無遅刻無欠席だったんです。学校は全然楽しくなかったけど。楽しかった大学は休みまくってた。夕方になって研究室に行って、ゲームやって居酒屋でダベって昼まで寝てるっていう生活をしてた。今と変わらない。基本ぐーたらなんです。
 思うに飼育体験実習を入れ過ぎたんだ。犬たちには会いたいけど、毎回実習目標を立てて結果を報告して、さらにレポートにまとめるっていう作業が億劫になっちゃったんです。火曜日の実習が体力的に辛かったんで、同じことをするはずの今日がプレッシャーだった。もっといろんな実習を取らなきゃダメだな。ワホワホ。

Super Butter Dog解散かよ。「コード」って曲が好きでした。あとライブ盤でファンキーなドラムを聴いた永積さんが「いいぜっ」っていうの、真似してた。サヨナラからはじまることがたくさんあるんだよ。

6月6日 3歩進んで2歩さがる

きのう学校休んでから、張り詰めてた糸がプツンと切れた。今日はいい天気だったのに散歩にも行かず、「こんなツレでゴメンナサイ。」読んだ。鬱の経緯を本人の口から、これほどわかりやすく書かれた本もないんじゃないか。このエッセイの元になった、奥さんが書いた「ツレがうつになりまして。」も今さらながら読んでみようと思った。鬱で夫婦揃って印税生活羨ましいな。文部科学省もお手上げです。
 明日はまた学校。ここで行かないとまじで登校拒否児になっちゃう。その後Pied Piper Daysに行こうと思ったら要予約じゃない。長門さん、川村さん。立ち見でいいんで入れてくださーい! っていうのはロックなやり方じゃない。

6月7日 バナナ&ルーイ

学校でトレーニング体験の講義。犬のしつけにはみんな意味があります。人間と共生して安全に暮らすために。落ち着かせたり、興奮を抑えたり。じゃあお手はどういう意味があるのか。外出から帰ってきた時に足の裏を拭くために教えるんだって。だから本当は後ろ足も出来なきゃ意味がない。後半は実習。ずっと懐いてくれなかったキャバリアキングチャールズスパニエルが、怯えながらも指示に従ってくれた!

その足で、Pied Piper Daysってトークショーに行った。出演は長門芳郎さん、土橋一夫さん、川村恭子さん。珍しい音源や映像がいっぱい。The Explorers Clubってバンドが気になりました。ジャケットからして60年代ポップスへの愛情に溢れてる。Dennis Wilsonの再発、すごいいい音で欲しくなった。Margo Guryanも気になるんだよな。Brian WilsonとVan Dyke Parksが一緒にやってるらしいよ。邦楽ではかのMicrostar、「年下の男の子」をPhil Spector風にカバーした未発表音源が悶絶ものでした。DJネタに欲しい! 黒沢健一さんのライブ盤も凄かった。
 長門さんからはTin Pan Alleyの珍しい話がいっぱい聴けました。全国ツアーで北海道の田舎町に行った時、ステージ土禁で小坂忠さんと吉田美奈子さんがスリッパで踊ったらしい。それから佐藤博さん、今なにやってんのかと思ったら青山テルマのプロデュースで一山当てたんだって。あとは鈴木慶一をカバーする羅針盤、とかあってはいけない映像が! 吉祥寺フォークシーンの若林純夫さんって方も素敵だった。小西康陽に音楽の楽しみを教えた人物。生前に知ってればライブに行った。楽しいイベントでした。川村恭子さんにやっと鎌倉土産を渡せたし、充実した一日であった。

6月8日 悲しくてやりきれない

秋葉原通り魔 死亡7人負傷11人に...25歳男を逮捕。

事件や事故というのは得てして怖いもんだけど、久しぶりにまじでこえーなこれはっていう事件が起きた。僕と秋葉原の接点は、Perfumeが昔路上ライブをやってたらしいってことと、機材好きのミュージシャンが通ってそうだなあってぐらいで、日曜日の歩行者天国がいまどういう状況なのか全然知らない。これがもし渋谷のスクランブル交差点だったら、下北沢をトラックで暴走したら、と考えるととたんにリアルに感じてくる。
 犯人は25歳。まだ人生なんとでもなる歳なのに、7人殺しちゃったら極刑は免れないでしょう。亡くなった方には74歳のおじいちゃんまでいる。戦渦をくぐり抜けて、高度経済成長を支えた人生、その最期がこれかよと思うと悲しくてやりきれない。人災・天災を問わず、恐怖が自分の目の前で起こった時、僕は愛する人を、猫を、犬を、守れるだろうか。なんだか古舘伊知郎なみに心に響かない日記になってしまった。

6月9日 最強の敵は自分の中にいる

きのうの通り魔の、掲示板への書き込みを見てぞっとした。

・俺が騙されてるんじゃない 俺が騙してるのか
・いい人を演じるのには慣れてる みんな簡単に騙される
・大人には評判の良い子だった 大人には
・友達は、できないよね
・ほんの数人、こんな俺に長いことつきあってくれてた奴らがいる
・全員一斉送信でメールをくれるそのメンバーの中にまだ入っていることが、少し嬉しかった

これ、僕の鬱が一番酷かった頃に書いていたこと、思っていたことにそっくりなんです。彼はその捌け口が他人への殺意になって、僕は自分への殺意になっただけの違いで。僕は自分の歪んだ性格を、最初からないことにしたい、出来れば最初っからいなかったことにして欲しいと願った。でもそれは無理な話だよね。人が死ぬという現象が、僕の人生の中で身近にたくさんあったから、残されたものの気持ちがわかっていた。だから僕は自分も殺さず、他人も殺さなかった。
 で、望月昭さんの「こんなツレでゴメンナサイ。」にも書いてあるけど、不安定な気持ちは大きな波や小さな波を乗り越えながら、長い長い時間をかけながら、薬やパートナーのサポートを得ながら、大凡の場合はよくなっていく。この事件がきっかけで、秋葉原という特殊な街や、20代という危うい時代に対する風当たりが強くならないことを願います。最強の敵は自分の中にいる、最高の神も自分の中にいるはず (鈴木慶一)

今日はジャジャスコジャスコ、楽しいジャスコ。帰りにMaison Kayserのパンを買った。贅沢なんだか清貧なんだかよくわからない。

6月10日 リトマスあるいは猫との暮らし

山のふもとで犬と暮らしている
作詞・作曲 : 忌野清志郎

今日は一日 本を読んで暮らした とても冷える日だった
朝から ドアを閉めたままの あたたかい部屋の中
おまえはストーブの前にのびていた アクビしかしなかった
 一人ぼっち一人ぼっち 雑種の一人ぼっち
 一人ぼっち一人ぼっち シッポをたれたままの一人ぼっち
 一人ぼっち一人ぼっち一人ぼっち
 心配事は何もないおまえにだけは
 おまえにだけはおまえは特別なのさ
今日は一日 本を読んで暮らした とても冷える日だった
...おやすみ...もう寝よう...明日は山の中 駆け回るんだ

はーヒマヒマ週間の始まりです。病気が酷かった時よりはずっと予定があるんだけど。あの頃はベッドから出られなかったしね。今の体力では時間をもて余し気味。今日は一日 本を読んで暮らした。前は読んでも言葉が頭に入ってこなかった本が、今はするすると入ってくる。気持ちいいです。哲学書とか読んでる訳じゃないんだけどさ。軽いのから。犬の本とか音楽の本とか。
 庭の紫陽花が満開です。左側の紫陽花は真っ青。右側は真っ赤。うちの庭のpHはどうなってるんだ。はー明日からプールと散歩にでも行こうかな。体力つけなきゃ。

6月11日 麒麟です

大変だ! メイがキリンになっちゃった! バゲットの包みを被せてみました。ほかの猫にはやんないよ。メイはこうやっていじられるのが大好きなの。俺ってウケてる今!
 夜は渋谷に出て串焼きなど。旨かったけど高かった。もう行かないだろう。

6月12日 大切なお知らせ

今日は女性の皆さんに大切なお知らせがあります。男性は股間をぶつけるととても痛いのです。本当に痛いのです。こんな例えがあります。金正日が死んだと聞いたら、世の男性は危険な独裁者がいなくなってよかったと言うでしょう。でももし金正日が股間をぶつけたと聞いたら、世の男性は心から心配するでしょう。それくらい痛いのです。よろしくお願いします。

6月13日 さあ回転扉をぬけたら

どんなにいじっても物怖じしない、人嫌いしない雑種猫メイの唯一の弱点をみつけました。それは仰向けに抱っこしてちんちんを触ること。オーンオーンと嫌そうな声を出してじたばた暴れ出して、遠くへ逃げていきます。2回やると怒り顔になります。
 Microstarの「microstar album」が良すぎる。60年代アメリカンポップスとテクノポップの融合という意味ではMannaの方が完成度は高いかも知れない。でもいなたい真っすぐさ、トキメキの再生度では圧倒的にこっちに軍配があがる。気取ってなくて、もうPhil Spectorが大好きなんじゃー! っていう勢いが伝わってくるんです。最初は聴いてて照れくさい、鼻にかかった甘いボーカルが、だんだん慣れてくるにつれて曲の高揚感の起爆剤になる。グルーヴィーな歌声です。この間の長門芳郎さんのイベントでかかってた、「年下の男の子」のカヴァーが欲しい。

6月14日 なんでもないようなことが

実になんでもない一日。午前中は学校へ。ドッグランで2万頭の犬の世話をしてきたって方が講師でした。犬のケンカが始まりそうな気配とかその時の対処とか、飼い主との円滑なコミュニケーションの取り方とか。興味深かった。でも朝の授業で眠いやら暑いやら腹減るやら。ムッシューヘリハラでした。
 夜はどうしようもなくいつもの顔ぶれでカラオケ。当初の目論見ではとてつもなく斬新なメンバーになるはずだったんです。ヒネモスのみなさんと歌ったら楽しかろうと。でもヒネモスがライブの都合で全員来れず、残ったメンバーは何歌うかも予想がつく。その裏を突いていくゲームのようでした。M姉妹のハモりは美しく、お姉ちゃんと僕との持ちネタ「Slide」も無難にまとまり、みんなでバカみたいに踊って楽しかった。社会復帰したらこんな日々も懐かしくなるのだろうな。5時間歌ってバイバイ。僕はうちに帰って明日の準備、みんなはT家で騒いでるらしい。ちょっと寂しいけどそれくらいがいいのです。以上、宮城地震も副都心線も出てこない日記でした。

6月15日 ガリガリ君チェリー

思い立ってサクランボ狩りに行ってきました。中央フリーウェイで勝沼まで。サクランボ園についたらやる気のないおじさんに「今日はやってません」「高いところならある」とか言われて、ボッタクリかと思ったら「脚立で登るようなところにしかサクランボが残ってませんよ」って意味でした。40分食べ放題。はしゃいで狩り狩り君。サクランボは甘酸っぱくって美味しかったけど、40分も食べ続けられるもんじゃなかった。余った時間、サクランボ畑でスキップしたり踊ったりしてました。本当にしてました。
 お腹が膨れても甲州名物ほうとうは食べたいじゃないの。2人で1人前注文して、一杯のかけそばみたいに寂しく食べました。美味かった。そんで近くをふらふらドライブ。「山東」て地名があって、下にローマ字で「Yama East」って書いてあったの笑った。すごい豪邸が多くてびっくりした。田舎暮らしに憧れて東京の土地を売ってきました! ロハス! って感じだった。ぶどうの丘って施設はなかなかの充実度でした。甲府盆地を駆け上る風にあたりながら、ぶどう100%ジュースを堪能して帰ってきた。

車中のBGMはおおはた雄一さんのカバー集「Small Town Talk」。Babby Charles、Dylan、陽水、B.J.Thomas、 Eric Justin、Nick Drake、Tom Waits、ムッシュ、高田渡、James Taylor、Platters、友部正人、Weavers、Nirvanaっていう凄い選曲のセンス。僕があんな声であんなギターを弾けたなら、きっとこんなアルバムを作りたくなるだろう。どの曲も解釈が素晴らしいです。買った方がいい。

6月16日 あくびしかしなかった

きのうの反動でぐったり。昼までぐっすり、そのあとも寝たり起きたり。雑種猫のクリマロがメイをペロペロ、メイが僕をペロペロ、僕がネモをこしょこしょ、そんな日。クリマロはいつも誰かの毛繕いをしてて偉いと思う。
 まだ学校が半年以上残っているというのに、就職サイトに応募してみたら結構反応よくて、36歳のおじさんなのに申し訳ない気持ちです。学校の名前を出すのがいいみたい。出身大学じゃなくて、いま通ってる動物の学校の名前。卒業するまではバイトで、卒業してから正社員にさせて頂ければ、なんて酷いお願いにも応えてくれるところもあった。でも前にお目にかかった、近所で小型犬のドッグランをやっている方にもう一度お会いしたい。今後の課題は体力と睡眠欲だな。朝の眠気と夜の覚醒を代えて欲しい。

6月17日 土から離れては生きられないのよっ

13時から20時まで飼育体験実習2コマ。わかんないのが遊びとケンカの見極め。どこまで暖かい眼で眺めてていいものか。これは将来ドッグランで働くなら必須の技能だ。
 2コマ目は散歩と犬舎の清掃・消毒。散歩はでっかいフラットコーテッドレトリバーの、好奇心旺盛なイタリアン・グレーハウンド、懐いてくれないキャバリアキングチャールズスパニエル、ミニチュアダックス。ミニチュアダックス以外は大変そうなのを敢えて選んで行きました。キャバリアはだんだん心を開いてくれてるのかな。問題はレトリバー。凄い力で引っ張る。リード持つ手にマメができるかと思った。これもちゃんとヒールポジションでスマートに散歩させなきゃいけないんだ本来は。

そんで犬舎の清掃と消毒をして、くったくたにくたびれて帰宅。歩道橋を登る足取りも重く。こんな体力でバイトなんて入れていいのかしら。帰ってゆったり風呂に入って、山梨土産の山くらげとワインを頂いた。我がマンションには誰も使ってない無駄に広い芝生があるんだけど、ふと思い立って大の字に寝てみました。夜風に草の匂いが漂って、実に気持ちいい。窓越しには踊ってる彼女と佇んでる3匹の猫。幸せってこういうことかも知れないと思った。どんなにかわいそうなネットが発達したって、土から離れては生きられないのよっ。

6月18日 ツレがうつになりまして

これまでのあらすじ。僕はずいぶん前に重度の鬱病と診断され、会社を辞めて長いこと隠居生活を送ってました。そこへ彼女の登場。日々が明るくなり、ケンカしたり仲直りしたりしつつもそれがいい刺激になって、社会復帰のヴィジョンも見えてきた。一方、僕をサポートしてきた彼女は、僕の看病や仕事の重圧、家族の不和が重なって、だんだん会社を休む日が増えてきました。
 で、今日だ。前々から彼女に通院を薦めてたんだけど、ついに医者の診察を受けて、軽度の鬱症状があると診断されました。鬱はうつるってホントだね。要因のひとつである会社は今月で辞めることにして、これからは闘病ユニットとして活動を開始することになりました。皆さん今後とも暖かい眼でよろしくお願いします。

6月19日 Re:Up

学校の先生方がこの日記を読んでいることが判明し、緊張気味の書き出しです。今日は飼育体験実習。その前にお言葉。山下さんをプロとして送り出したいので、目的意識を持って実習に取り組んでくださいとのこと。はい、犬見ると可愛くてね、ワホワホワホ、顔ペロペロペロ、甘噛みムニュムニュされると幸せになってしまう。でもこれは問題行動なので、毅然とした態度で取り組んで参りたい。
 今日の目標は、喧嘩と遊びの違いを見極めること。トイプーとマルチーズが相撲を取っているのは見ていて微笑ましいけど、そこにミニチュアダックスが加わるとややこしくなり、ビーグルが加わると喧嘩になる。つまり喧嘩と遊びの境目は、犬の性格や相性によって変わってくる訳です。犬舎の犬なら性格や相性がわかるけど、例えばドッグランやペットホテルの仕事に就いたら、これを瞬時に見分けなきゃなんだよな。道のりは遠いです。

帰りに床屋で丸坊主に。去年やって似合ってるって言われたから! 家に帰ったら彼女が、いやその前の金髪時代よりは似合ってるって言っただけだよと。失敗かい! これは失敗かい!

6月20日 夏の初めのサンタクロース

今日は飼育体験実習の最終回。今日も喧嘩と遊びの見極めをする。犬の相性や体調や気候によってずいぶん違うなと実感。難しい。極端に相性が悪い犬を、リードをつけた状態で向かい会わせてくれた。すごいキバ、耳やシッポはピンと立って、これはやばいと僕にもわかる空気になりました。それから最後に基礎的なところで大失敗。ミニチュアダックスを持ち上げようとして落としちゃった。腰の弱い犬種なんで、実に申し訳ないことをした。
 そして先輩のトレーニングレベルチェックのお手伝い。半年かけて1頭の犬をトレーニングして、その成果を披露する。僕は杖を持った老人の役と、いきなり犬の前で拍手をする役と、サンタクロースの格好をして、帽子のボンボンをちらつかせる役をやった。デブなのでサンタクロースの格好が似合っていたらしく、お誉めの言葉を頂きました。

帰ってきて彼女と飲み。愛について語った。彼女は愛情と友情の違いはセックスの有る無しだという。いやいやそんな単純なものじゃない、生き物としてやむを得ず性欲はある、それを抑えるのがモラルだ。愛情とは心の奥で、2人で育てていくもんだと答えたんです。それじゃあ友達ともセックスしたいと思うの? って聞かれて、思うこともあるけどモラルで抑えるんだよって答えたんだけど皆さんどう思います? 僕って変態?

6月21日 猫と子供

くまさん一家がやってきました。いつもお招き頂いてるのでたまにはこちらにも来て頂くべく、東京に用事があるっていうんでこれはチャンスだろうと。2人の子供たちは遊び盛り、動きの予想がつかない子供と猫っていうのは得てして相性が悪いもんだけど、どんなことにも物怖じしない雑種猫、メイは、すぐに馴染んで一緒に遊んでいた。食後の大人のお喋りタイムでは、下の子とポケモンごっこをしていた。下の子は4歳、猫の知能は3歳児レベル。ちょうど良かったんじゃないだろうか。
 ご飯は子供もいるのでイベント性を出すためにたこ焼きパーティにしました。ドンキで買った1980円のたこ焼き器、こんなに役に立つとは思わなかった。ソースはせーの、「やっぱりヒガシマルソース」。上の子は僕より上手にたこ焼きをひっくり返してました。あいつは器用だから将来心配ないな。なににつけても不器用な下の子が心配だ。自分に通じるものがある。楽しい夜でした。特にオチとかありません。

6月22日 東京酔いどれダンスミュージック

きのうの僕はかなり飲んで、ご機嫌だった様子。いろいろ聞かされて恥ずかしくなった。素敵なBGMの中で、僕の大好きな熊谷一家と僕の大好きな彼女をやっと会わせられたことが、うれしかったんだ。
 今日は猫と遊ぶ。メイが自分から猫じゃらしを持ってきて、遊んでくれという。

6月23日 僕の優しさもだんだん歳をとる

近所の顔見知りのばあちゃんが、毎日夜中に呼び鈴を押されて眠れないという。もう3ヶ月も続いてるって。実は3ヶ月前に、うちも夜中にピンポンダッシュされたことがある。でもそれ以来ぜんぜんないし、ばあちゃんと同居している人も、「どうなのかね」と言っている。で、そのばあちゃんが、僕を疑ってるらしいんです。ちょっと前まで昼夜逆転生活を送ってたからね。でも今はちゃんと夜寝て午前中に起きてる。
 おとといの午前4時頃かな、うちの呼び鈴が鳴って、モニターを見たらそのばあちゃんが凄い形相で立ってた。「明日の朝、話があります。以上!」って言って去っていった。僕はそのばあちゃんとは話さずに、同居している人に相談した。どうもノイローゼで幻聴を聞いてるんじゃないかって。僕は今夜も僕を疑うばあちゃんに怯えながら眠る。歳を取るって悲しいね。うちの猫たちが15歳を過ぎても元気なのが救い。

6月24日 とび魚のバタフライ

とび魚のバタフライ
作詞:福岡晃子
作曲:橋本絵莉子

今とび魚になって空と海バタフライ
ちぎれ雲で昼寝して入道雲に砂糖をかけて
今とび魚になって空と海バタフライ
しおからい波を蹴ってしぶきがリズムになる
ほらわたしにだって空と海バタフライ
したり顔の太陽め! ヒリヒリ肌で胸ドキドキ
ほらわたしにだって空と海バタフライ
怖がらないで目を開けてすべてと一つになる

去年聴きまくったチャットモンチーのナンバーです。チャットモンチーはポップでキュートでオリジナルっていう僕の好きな音楽の要素を満たしていて、しかも上手いし気骨もあるし狂ってるし、もっともっと売れていいバンドだと思うんだけどな。Perfumeの新曲よりいい曲いっぱいあるよ。
 彼女が療養のために実家に帰って行きました。ほんとはうちで療養した方がいいと僕は思うんだけど。病気のことを体感して理解して、辛い時には休ませて、ちょっと元気が出てきたら食事にでも出かけるペースがいい。でも親御さんからみたら、自分のところに置いときたいのは当たり前だろう。
 今日は一人でプールに行ってきました。水の上を漂ってると、頭の中が無になって、海月のような気持ちでホーっとできる。みなさんもたまにはプールに行くとよいよ。基本的に水中歩行と平泳ぎでのんびり。ふと思い立って、四半世紀ぶりにバタフライをしてみた。25メートルで死ぬかと思った。

6月25日 晴れたら空に、豆まこう

秋山羊子 with 梅津和時@空豆に行ってきました。ライブを見るという行為自体が2ヶ月ちょっとぶり、秋山さんのライブは今年初めてかもしれない。この2人のライブは大抵すごくいいのです。梅津和時さんって言ったら大変な大御所じゃないですか。それが小娘のバッキングをやってあげてる的な感じが微塵もないのがすごくいい。世界的なプレイヤーと、才能がまだ世の中に届いてないシンガーが、お互いの音楽を完全にリスペクトして、暖かい歌にしてるんだ。秋山さんも言ってたけど、梅津さんのサックスは歌ってる。そして秋山さんは叫ばないけど心の中で叫んでる。音楽が好きだー! って。それが届くから僕は足を運ぶ。
 対バンはノルウェーのユニットPicidae (ピッキデー) 。小さな竪琴みたいな楽器を持った女性Vo.と、Tp.の男性の2人組。とっても丁寧に繊細に作られた音楽。ヴォーカルはSuzanne Vegaを思わせる、低音からファルセットまで乾いた色気のある声、トランペットは同じ音域で、ボーカルに寄り添っていく。北極海に面した音楽、のような気がしました。

6月26日 レモンのような午后の陽だまり

また犬の学校の話。7月から僕がトレーニングする犬が決まりました。ビーグルのレモン。やんちゃで好奇心旺盛な子。本当はレトリバーを希望してたんだけど、大型犬をトレーニングするより大変だぞこれは。12月まで僕の犬の先生です。
 そして卒業生の研究発表のサポート。前にも別の期の研究発表を見たんだけど、今回の方が格段にクオリティが高かった。うー見てるだけで緊張するぜ。僕に与えられた仕事は発表の採点表の集計。プロの世界は結果が全てだから、同期でどんなに仲良しでも客観的に点数をつけるという訓練をしなくちゃいけない。僕は発表者が話しやすい環境を作るべく努力するように言われた。漠然としてるけどなんとなく掴んだ。半年後には僕もあの台の上に立つのだよなあ。

6月27日 アリノスコロリコロリ

台所にアリが出た。アリノスコロリで駆除したいんだけど、いく店いく店「品切れです」「スプレータイプならあります」と言われた。あっちでコロリ、こっちでコロリ。設置型は人気がないんだろうか。ずっと効くのに。
 ダイエットいい感じで続いてます。意を決して運動を始めた (腹筋・背筋をちょびっと) のと、食生活に気をつけるようになったのが大きい。特に食生活、コンビニの唐揚げ弁当にマヨネーズかけて食ったりしてたからな。こないだジャスコで買った2本60円のゴーヤがそろそろやばいので、今日はゴーヤチャンプルーを作った。素晴らしきジャスコ。

ジャスコを讃える歌
作詞:作曲 山下スキル

ジャスコジャスコ / ジャジャスコジャスコ
みんなのジャスコ / 楽しいジャスコ
語り「こんなお値段でいいのかしら」「いいんですよ奥様」
おいしいね

朝はコーンフレーク、昼はゴーヤチャンプルー、夜はダイエットゼリー。これでやせない訳がない。だんだん胃が小さくなってきた気がします。お酒も控えめで。FUJI ROCKまでにまだまだガンガンやせる所存。元々の脂肪量がすごいんでね、不健康なやせ方ではないです。

6月28日 後半いってみよう

今日は学校。進級したらどうなるかのガイダンスの日。僕、27期生のつもりだったんだけど26期に編入されてた。担当犬になるビーグルのレモンと改めて対面した。なにこの疑心暗鬼の目! 1ヶ月でパパ! って言わせたる。でも好奇心旺盛なビーグルだからな、いまんとこ対面の喜びより不安の方が大きいです。ガイダンスで、進級したらセミプロとしての行動が求められること、単位取得がかなり大変になることがわかった。週に4日から5日は学校に行くことになるんじゃないかしら。定期券買った方がいいかな。バイトとか就職活動とかしてる場合じゃない。
 帰ったら彼女がケーキを作って待っててくれた。調理器具のない我が家でよくやったと思う。泡立て器がないから菜箸で泡立てて、絞り出し袋がないからしゃもじで飾りつけたんだって。ハチクロの、真山と山田が花火を見るシーン。僕は竹本派だけどな! 「竹本が10年15年したらいい男になりそう」ってそれ僕だよ! どうだい、いい男だろう。

6月29日 サプライズ

ケンカだケンカだ! 僕は未聴CD何百枚に囲まれて暮らしてるんですが、それを見かねた彼女に、CD購入は月3枚以内って言われてたんです。それってミュージックフリークにとってはつらいでしょう。で、彼女が一時帰省をした隙にAmazonで5枚ほど買ってしまったのだよね。悪いことはできないね、たまたま彼女がこっちに来てる時に届いちゃった。
 そんで怒られちゃったので、おわびとしてはなんだけどサプライズプレゼントを。前に洋服屋で、これいいなあ、どうしようかなあ、って言ってた服があったの。それをその3日後にこっそり買いに行って隠してたの。ほんとは彼女の生誕10000日目の誕生日に、「おめでとう!」って渡すつもりだったの。なんて素敵なサプライズ! しかし3週間前に渡すはめになってしまった。喜んでご機嫌になってくれた。よかったようなよくなかったような、そんな日でした。ま、だからなんだって日記です。

6月30日 親愛なる友

カメラマンのF.T.さんともう5年くらい文通を続けてるんだけど、最近彼が手紙の頭に「親愛なる友」って言葉をつけるようになった。彼はこういう洒落た言葉を使うのが上手い。
 で、今日はまさに「親愛なる友」の映画、「最高の人生の見つけ方」を観てきました。ひでえ邦題! 原題は「The Bucket List」、棺桶に入る前にやっておきたいことリストの話。病院を幾つも経営する大富豪 (ジャック・ニコルソン) と、知性派ながら高等教育を受けられなかった自動車整備士 (モーガン・フリーマン) 。ガンで余命いくばくもない2人は病室で出会い、境遇の違い故に最初は反発しあうんだけど、やがて心を開いていく。そんでジャック・ニコルソンの提案で、モーガン・フリーマンが書いていた棺桶リストを実現するべく、病院を抜け出して世界を巡る旅に出る。普段の僕はもう少しアヴァンギャルドな映画を見てるんだけど、本当にベタに丁寧に作られた作品にはあがなえないものがある。生きること、死ぬこと、家族のこと、神のこと。考えさせられたし感銘を受けた。モーガン・フリーマンが最高に格好よかった。あなたは死ぬまでに何がしたいですか?